Our Story
なぜ、誰も気づかなかったのか
私たちは長い間、音の問題を「周波数」で解決しようとしてきました。
EQで削り、EQで足し、コンプで潰し、コンプで持ち上げ。
それでも「何かが足りない」「スピーカーが鳴らない」「抜けが悪い」という問題は消えませんでした。
EVERTONE PROJECT代表・門垣良則は、25年以上にわたるNEVE研究とレコーディング現場での経験から、ある仮説に辿り着きました。
「電気信号の世界にも、物理法則は働いているはずだ」
F=ma。力は質量と加速度の積。
この中学校で習う公式が、音の世界では見落とされていたのです。
音には「周波数」だけでなく「加速度エネルギー」がある。
そして、マイクで録音する瞬間——空気を介する瞬間——この加速度エネルギーは失われてしまう。
これが、録音物がスピーカーを「鳴らしきれない」本当の理由でした。
この発見は試験回路の特許申請中、国際特許予備審査において新規性が認められました。
過去に同様の発見を記載した文献は、世界に存在しなかったのです。
では、失われた加速度エネルギーをどうすればいいのか?
答えは「擬似的に再生成する」こと。
エキスパンダー処理によって、加速度エネルギーに相当するダイナミクスを音声信号に付与する。すると、スピーカーは加速度を持って反応する。
これがEVERTONE PLUGINSの物理エンジンです。
コードを書くことは、誰にでもできます。
でも「なぜそうするのか」という発見は、コピーできません。
EVERTONE PLUGINSは、発見から生まれました。
周波数だけでは語れない、音の真実
音について語るとき、私たちは「周波数」の話ばかりしてきました。
低音が足りない。高音がキツい。中音域が濁っている。
これらは全て周波数の問題として語られ、EQで解決しようとします。
しかし、周波数とは何でしょうか?
周波数は、動的なエネルギーが物質に働いた際に発生するものです。
つまり、ダイナミクス——加速度エネルギー——があって初めて周波数は意味を持つのです。
考えてみてください。
ドラムを叩く。弦を弾く。声帯を振動させる。
これらの動作には全て「加速度」があります。
ところが、マイクで録音する瞬間、空気を介してしまう。
空気という媒体を通過することで、加速度エネルギーの多くは失われます。
結果として録音物には、周波数情報は残っていても、本来の加速度エネルギーが欠けている。
これが、録音した音がどこか「平面的」に感じる理由です。
これが、スピーカーが「鳴りきらない」理由です。
これが、どれだけEQを触っても解決しない問題の正体です。
問題は周波数ではなく、エネルギーだったのです。
EVERTONE PLUGINSの物理エンジンは、この失われた加速度エネルギーを擬似的に再生成します。エキスパンダー処理によってダイナミクスを拡張し、音声信号に「加速度」を取り戻す。
すると、スピーカーは本来の鳴り方をし始めます。
デジタルメーターやオシロスコープで見ても、その違いは明らかです。
周波数の先に、エネルギーがある。
これが、EVERTONE PLUGINSの核心です。
なぜ私たちがプラグインを作ることになったのか
私、門垣良則は、レコーディングスタジオを持つエンジニアです。
レコーディング、ミックス、マスタリング——この世界で、それなりに名前を知っていただけるようになりました。
だからこそ、現場で感じ続けていた「違和感」がありました。
EQで削っても、コンプで整えても、どこか「鳴りきらない」。
スピーカーから出てくる音が、生で聴いた時の躍動感を持っていない。
25年以上、NEVEをはじめとするアナログ機材を研究し続ける中で、私はある発見に辿り着きました。
「電気信号の世界にも物理法則は働いている。
加速度エネルギーの計算が、見落とされていた」
では、この発見をどう製品にするか。
正直に言えば、プラグインは「他社が作るだろう」と思っていました。
アイデアを形にする技術を持った会社は、世界中にたくさんある。
しかし同時に、こうも考えました。
「デジタルでは、根本的な解決にはならない」
なぜか。
マイクで録音する時点で、空気を介している。
空気を介した瞬間に、加速度エネルギーは失われてしまう。
デジタル処理で「擬似的に再生成」することはできても、それは対症療法に過ぎない。
では、根本から解決するには?
「ピックアップなら、できるのではないか」
ギターやベースのピックアップは、弦の振動を直接電気に変換する。
空気を介さない。
しかし測定すると電気信号からは加速度は消えている。
電気信号が加速度エネルギーを保持できるのは確実。
ならば、問題を解決できれば、加速度エネルギーを保持したまま電気信号にできるかも——。
国内有数のピックアップメーカーEuphoreal代表・藤野州豊さんにこの仮説を共有し、一緒に開発を始めました。
そして、成功しました。
これがEVERTONE PROJECTの始まりです。
EVERTONE PICKUPは、従来のピックアップでは失われていた加速度エネルギーを保持した出力を実現。紅白出場アーティスト、国民的シンガー、ワールドツアークラスのバンド……多くのトップアーティストに使っていただけるようになりました。
でも、一つ問題が残っていました。
マイクで録音された素材は、どうすればいいのか?
ボーカル、ドラム、ピアノ、ストリングス……
世の中の録音物の大半は、マイクを通っています。
「デジタルでは根本解決にならない」と思っていた私ですが、EVERTONE PICKUPの開発過程で、膨大なシミュレーションデータが蓄積されました。そして、エンジニアとして現場で培ったミキシングノウハウがある。
「対症療法」であっても、正しいアプローチなら価値がある。
エキスパンダー処理で加速度エネルギーを擬似生成すれば、マイク録音の素材でもかなりのところまで改善できる。
元の音より力強くする事だって、音価を適切に制御することも出来る。
レイテンシーさえなければレコーディングのプレイバック段階から使える。
ライブ現場でも革命が起きるはずだ——。
「きっと、どこかのプラグインメーカーが作るだろう」
でも、誰も作りませんでした。
1年待っても、2年待っても。
だから、自分たちで作ることにしました。
EVERTONE PICKUPの開発過程で蓄積したシミュレーションデータ、実際のレコーディング/ミキシング/マスタリング現場でのノウハウ、そして10年以上の研究成果。
これらを全て注ぎ込んで作ったのが、EVERTONE PLUGINSです。
私たちは「プラグインメーカー」ではありませんでした。
エンジニアであり、発見者であり、ハードウェアメーカーでした。
だからこそ作れたプラグインがあります。
「デジタルでは根本解決にならない」と言った本人が作ったプラグイン。
その意味を、ぜひ体感してください。
プロが当たり前にやっていて、一般に知られていないこと
グラミー作品と、自分の作品。
同じDAW、同じプラグイン、同じような音色を使っているのに、なぜこんなにも「グルーヴ」が違うのか。
多くの人は「ミックスの腕」「センス」「経験」と考えます。
もちろんそれも正しい。
でも、もう一つ重要な要素があります。
BPMに対して、正確に制御されているかどうか。
グラミー作品レベルの楽曲の大半は、BPMに対して極めて正確にダイナミクスが制御されています。これは一般的に知られていませんが、トップエンジニアの間では当たり前の処理です。
具体例を挙げましょう。
「16分音符のノリを感じる、4分音符のバスドラム」
4分音符で鳴っているバスドラムなのに、聴くと16分音符のグルーヴを感じる。
これは魔法ではありません。
BPMに同期した完璧な音価制御の信号をレイヤーすることで、4分音符の中に16分音符のエネルギーカーブを仕込んでいるのです。
EVERTONE PLUGINSのBPM SYNC機能は、この処理を実現します。
単なる物理モデリングでは、こうはなりません。
ゲーム業界の物理エンジンをそのまま持ってきても、音楽にはならない。
物理法則とBPM同期を「音楽で繋ぐ」。
これがEVERTONE PLUGINSの設計思想です。
私たちは発見者であり、エンジニアであり、そして何より音楽を作る人間です。
計算結果を出力するのではなく、グルーヴを生み出すプラグインを作りました。
物理法則 × BPM × 音楽的感性
EVERTONE PLUGINSを開発する際、私たちは一つの確信を持っていました。
「物理法則モデリングが音楽に転用される日は、そう遠くない」
ゲーム業界では、既に物理法則モデリングが当たり前に実装されています。
重力、衝突、反発、摩擦——これらをリアルタイムで計算し、画面上のオブジェクトを動かしている。
この技術が音の世界に来るのは時間の問題だと思いました。
しかし、一つ問題がある。
物理計算を音に適用しても、それだけでは「音楽」にならない。
ゲームの物理エンジンは「リアルさ」を追求します。
でも音楽に必要なのは「リアルさ」ではなく「ノリ」であり「グルーヴ」です。
だから私たちは、3つの柱を立てました。
【柱1】物理法則モデリング
F=maに基づく加速度エネルギーの擬似生成。
電気信号にも物理法則が働くという発見を、プラグインに実装する。
【柱2】BPM同期処理
グラミー作品レベルで当たり前に行われているBPM同期。
音価を完璧に制御しつつ、処理自体に縛られず音楽的自由を拡張する。
【柱3】音楽的アプローチ
単なる計算結果ではなく、楽しめること、クリエイティブであること。
数値を動かすのではなく「ノリ」を操作できること。
そして最も重要なのは——
この3つを「音楽で繋ぐ」こと。
物理法則とBPM処理は、それぞれ別の技術です。
これらを統合し、音楽的に意味のある形にするには、実際に音楽を作っている人間の感性が必要です。
EVERTONE PROJECTには、エンジニア、アーティスト、プロデューサー、ディレクター、ピックアップビルダー、ギタービルダーといった広範囲のネットワークがあります。
そして世界中で話題のアニメやゲームの音楽制作現場やワールドツアークラスのアーティストからのフィードバックがあります。
この環境で練り上げたからこそ、EVERTONE PLUGINSは「計算機」ではなく「楽器」になりました。